軍団ひとりの放蕩ムスコラム

HWWA一橋大学世界プロレスリング同盟のKODAIRA祭興行に行ってきた。6月6日、7日ともに国立は一橋大学にて行われた興行、Hフリークの自分は両日ともに足しげく観戦する気持ち悪い男として大いに楽しませていただいた。
思えば生H(意味注意)は08年度5月の東大興行、当時彼女とデートがてら東大に出向いたところ安田講堂の彼方から聞こえるバンプ音と実況の声、そこにあったのは四角いリングと半裸の男たち、そして学生プロレスの王道があった。そもそも私は当日東大で湯川潮音田中フミヤ(両方要検索)の無料ライブがあることをmixiで知り、かつ知人が上京がてら東大に来たりと好都合が重なったことから本郷三丁目に降り立った。
そんな折のHWWAプロレスとの出逢い・・・私は出逢うべくして出逢ったのだと運命を感じた。

安定感とセンスの抜群な実況のシャワーに輝くレスラーの肢体はオーラすら纏い、コミックでもシリアスでもしっかりした構成力で楽しませてくれる。リング上で費やすエネルギーは最小限に抑えつつもエンターテイメントとしてのツボは見事に押さえ、費用対効果が抜群なのである。
すぐにHWWAの虜になった私は学園祭シリーズと通してその後3度通いつめ、今回の2興行を含めると6度の観戦暦である。異常は認める。

そんな中でソルト佐藤選手のレスラー像を考える。彼はHの王者でありながら(他意含む)、SWS三多摩レスリングサミットのレギュラーメンバーでもありjrベルトに挑戦もしている。彼の笑いのセンスは実況にて学プロ界上位の腕であり、そこはHらしさを受け継いでいる。その一方で高い身体能力を活かしシリアスに対応したプロレスはSWSのエキスパート集団の中でより輝いて見える。彼のプロレスへの熱意と理想像にコミットした団体を追い求めるフットワークの上手さに改めて感心した。
金的桜ヶ丘選手もHの枠を超え学生レスラーの中でダントツの看板レスラーたる表現力を得ている。「表現欲を充足するためにプロレスを題材とする」彼のセンスは自分も大いに共感できる部分である。さらに彼は自己プロデュースの出来るリアルアーティストだと以前評したことがあったが本興行においてその存在感は確実に止まらぬ表現欲求の進化性を見せていた。
そんなHの王道プロレスの中で保永ノリノリ、タートルヘッドBJ、ラモス瑠偉16世選手らはそれぞれに過剰なまでに個性豊かなレスラー像を作り上げ、学生プロレスの大きな柱となっている。朝挿入、アクメ宏、アンダーヘアーテイカーら後輩たちも並々ならぬ個性を撒き散らしている。

Hの学生プロレスには居心地の良さそうな安心感を感じる。ひとつ屋根の下も羨むほどにアットホームだ。そこには我がNUWAの背面に時たま感じる「プロ研がなきゃ生きていけない」ような悲壮感はない。それぞれがドラマチックな私生活を過ごし、その上でプロレスが好きだからやってるという卑屈じゃないプヲタっぽさがある。
またOB勢が伝統を感じさせる戦いを繰り広げることで、若手たちは自らが歴史の中で戦っているという心の指針を得ることができる点もブレない王道の一因であると思われる。
内実は不明だが観客としてみると心地よさ、楽しくってしょうがない気持ちがあの炎天の下で負けない輝きを放っていた。

一、楽しいことをしたいという気持ち“からの”プロレスをする。
一、お客さんにしっかりとベクトルを向け、一瞬の表現力に神経を注ぐ。
一、私生活を卑屈に生きない。
これが学生プロレスにおいて「明るく楽しく激しいプロレス」を展開する三要素だと考えている。

「プロレスの中で」または「プロレスを起点に」エンターテイメントを考えると技や台本に溺れてしまうような気がする。ハッスルはプロレスを起点にしている所があり正直言って限界を感じている。
江頭がリングに上がったときにひとつの決着がついているのだが、本当に面白いことはプロレスではない、「プロレス的こと」であるのではないか。ファイティングオペラという呼称もそこにある気がするが、実情はプロレスの枠にある。マスコミも客も考え方はそれぞれだろうがプロレスがエンターテイメントである意味とその捉え方を今一度検討しなおすべきでは無いか。
リングの上でいつもの江頭がいるという既成概念のズレがあるからたまらなく面白く、マッスルにおいてはリングの上で世の中を皮肉りプロレス自体に問題提起をするから面白い。
その中でいわゆるメジャー団体はカリスマ的勝負論を展開させ、純粋に強さを求めるプロレスを、ファンやマスコミに媚びずに展開して欲しい。カールゴッチだってガチンコが評価されなくとも追求し続けたことで歴史の勝者となったはずだ(列伝参照)。

図書館に籠もり非常に長々と書いたのだが、課外講座開始から1時間が経過してるので流石に失礼させていただく。
とりあえず今自分が一番面白いプロレスは学生プロレスにあると思っている。